先日選挙が終わり、
ふと「国会議員の給料っていくらだろう」と疑問に思ったため、
今回は国会議員の収入について調べてみました。
1年で数千万円とも言われる国会議員の給料。
その内訳や、高い理由はどのようになっているのでしょうか。
国会議員の年収
国会議員が年間でもらえるお金は、いくつかの項目からなります。
そしてそれらは法律として明文化されています。
歳費
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
第一条
各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける。
国会議員の基本となる収入は歳費と呼ばれており、その役職に応じて月にもらえる金額が決まっています。
- 議長:217万円
- 副議長:158万4千円
- 議員:129万4千円
一番人数が多い議員でも、年間で1,500万円を超えます。
期末手当
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
第十一条の二 2
期末手当の額は、・・・規定する者が受けるべき歳費月額及びその歳費月額に百分の四十五を超えない範囲内で両議院の議長が協議して定める割合を乗じて得た額の合計額に、特別職の職員の給与に関する法律・・・により一定の割合を乗じて得た額とする。
いわゆるボーナス的なもので、6月1日と12月1日に支払われます。
- 平均:635万円
文書交通通信滞在費
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
第九条
各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。
郵便代や交通費、滞在費など公のためにかかる費用に対して払われるお金です。
内訳の公開・報告義務はなく、非課税とされています。
- 月額:100万円
これだけでも年間で1,200万円になります。
立法事務費
国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律
第三条
立法事務費として各会派に対し交付する月額は、各議院における各会派の所属議員数に応じ、議員一人につき六十五万円の割合をもつて算定した金額とする。
国会議員の立法に関する調査研究活動を行うため必要経費として支給されるものです。
こちらは議員一人一人に支払われるものではなく、各会派に対して支払われます。
- (各会派に対して)議員一人当たり:月65万円
もち代・氷代
政党によっては、お盆や年末に氷代・もち代として臨時的な手当がもらえる場合もあるそうです。
- 年間:100~400万
ここまでで、確実に議員一人がもらえる額だけみても、
・歳費:約1,500万円
・期末手当:約630万円
・文書交通通信滞在費:1,200万円
で合計3,300万円相当がもらえます。
国民の平均年収(約430万円)と比べるとその高さが際立ちますね。
国会議員が受けるその他待遇
国会議員になると給料が高いだけでなく、他にも手厚い待遇がたくさんあります。
JR全線・航空機無料
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
第十条
各議院の議長、副議長及び議員は、・・・鉄道及び自動車に運賃及び料金を支払うことなく乗ることができる特殊乗車券の交付を受け、又はこれに代えて若しくはこれと併せて・・・航空券の交付を受ける
こちらも法律で規定されています。
JRは特急だけでなく、グリーン車も無料で利用可能です。
また、航空券については、月4往復まで無料で、こちらを選択するとJR無料利用は出来なくなりますが、月3往復に減らすとJRの利用と併用できるという仕様です。
- JR無料 + 航空券月3往復まで無料 or
- 航空券月4往復無料
圧倒的に前者の方がお得な気がしますね。
公設秘書
国会法
第百三十二条
各議員に、その職務の遂行を補佐する秘書二人を付する。
2 前項に定めるもののほか、主として議員の政策立案及び立法活動を補佐する秘書一人を付することができる。
秘書2名と政策立法補佐の秘書1名の合計3名までは国費の負担で雇うことができます。
議員一人に対して3人と考えるとかなり多くの秘書の方が、陰で議員を支えているんですね。
議員宿舎
こちらは主に地方の議員の方のためにある寮施設で、かなり安価に住むことが出来ます。
宿舎名 | 場所 | 間取り | 家賃 | |
衆議院 | 新赤坂宿舎 | 港区赤坂 | 3LDK | 約10万円 |
衆議院 | 青山宿舎 | 港区六本木 | 2LDK | 約1万6千円 |
参議院 | 清水谷宿舎 | 千代田区紀尾井町 | 2LDK | 約1万9千円 |
参議院 | 麹町宿舎 | 千代田区麹町4丁目 | 2DK | 約3万~6万円 |
国家概算 27年より
赤坂宿舎は高めと思うかもしれませんが、同じ立地や間取りの相場は50万円とも言われています。
写真等がほとんど見つかりませんでしたが、もう少し高めの家賃でもいいんじゃないかと思ってしまいます。
JR全線・航空機無料は、前述の文書交通通信滞在費に含まれないのかとツッコミたくなりますが、単純が収入以外にも待遇が手厚いですね。
個人的には議員宿舎に住んでみたいです。
各国での比較
国会議員の年収は世界的に見て高いのか。
比べてみると以下の通りです。
国 | 年収 |
日本 | 約2,200万円 |
カナダ | 約1,260万円 |
イギリス | 約970万円 |
フランス | 約1,000万円 |
ドイツ | 約1,130万円 |
韓国 | 約800万円 |
アメリカ | 約1,570万円 |
歳費と年末手当だけでも、ぶっちぎりの額ですね。
報酬が高い理由
ここまで来ると、「もらいすぎ!」と思う方が多いと思います。
なぜここまで高いのか、いくつか理由を挙げてみます。
人件費が高い
先ほど「その他待遇」で秘書が雇えることをご紹介しましたが、主に立法が仕事である国会議員にとっては3名じゃとてもじゃないけど足りないようです。
足りない分の私設秘書を雇おうとするとそれは議員が自腹で雇う必要があり、1人年間数百万円と考えると人件費だけでかなり消費することが予想されます。
選挙にお金がかかる
選挙に立候補する際には、供託金というものを支払う必要があり、一定の得票数を得られなかった場合は没収されてしまいます。
また、ポスターやチラシ等の印刷代や広告費用等も自腹なため、国民の平均年収程度では賄いきれません。
もちろん1回当選したら終わりではなく、2度目、3度目の当選を狙う方も多いと思うのでその分お金はかかります。
賄賂等の汚職を抑止するため
立法という難しい仕事でお金もかかる中、収入が低いと、議員という立場を保つために裏で汚いお金のやりとりが多発してしまう可能性もあります。
逆に高い収入が約束されていれば、議員の職を失うリスクがあることをする者は減るでしょう。
不安定な職業である
国会議員はご存知のとおり、任期がある職業で、再選できなければその瞬間に収入を失う可能性もあります。
政党によっては、落選後に面倒を見てくれる場合もあるようですが、面倒を見てもらえなくなったらかなり厳しいですよね。
まとめ
国会議員の収入は、国内の平均から見ても、海外の議員と比較しても圧倒的に高額です。
ただ、それには理由があり、その分支出も多いということが今回新たに分かりました。
そして、議員の収入を含む政治への不満があるならしっかり投票し、政治に参加することが重要であると改めて感じました。
自分の国のことなので、政治により関心を持てるようになるといいですね。